あなたはなぜ値札にダマされるのか?


『あなたはなぜ値札にダマされるのか?
 〜不合理な意思決定にひそむスウェイの法則』

オリ・ブラフマン/ロム・ブラフマン著 高橋則明訳

 いま話題の行動経済学をわかりやすく読み解いた翻訳書。行動経済学とは、合理的な人間(ホモ・エコノミクス)を全体とした従来の経済学に対して、時として不合理な判断をする人間の心理を取り入れた経済学のことで、2002年にダニエル・カーネマンがこの分野でノーベル経済学賞を受賞したことで注目され、ここにきて一気に出版ラッシュの様相を呈している。2008年4月に『経済は感情で動く』が日本でも刊行されて一気に火がついた形だ。ダニエル・カーネマン自身の企画をはじめ、さまざまなタイトルが出版に向けて水面下で動いていたけれど、イタリア本翻訳が行動経済学本ラッシュの機先を制するとは思っていなかった。
 本書の原書『Sway: The Irresistible Pull of Irrational Behavior』は2008年6月にアメリカで刊行されてニューヨークタイムズのベストセラーになている。また2008年2月にアメリカで刊行されてベストセラーとなった行動経済学本の邦訳『予想どおりに不合理』が11月末に刊行されて、「予想どおりに」日本でも売れている(アドバンスの額が全然違うのだけれど。早川書房さんはここら辺の分野のタイトルをかなり取っていると見受けられる)。『経済は感情で動く』の第二弾も刊行されるみたいで、まさに今は百花繚乱状態だ。

 さて、本書の原書のタイトルである「SWAY」とは、揺れる、傾く、ぐらつく、といったニュアンスでなかなか日本語にするのが難しい。でも本書はこんな微妙な心理の揺れから、いくらプロフェッショナルな人間でも不合理な行動に陥りやすいのだということを、分かりやすく解説している。日本語版ではそれを「スウェイの法則」と捉え直し、行動経済学だけにとどまらず、最新の神経経済学や著者の専門領域である行動心理学からも知見を援用しつつ、8つの法則に落とし込んでいる。(↓こんな感じ)

■損失回避の法則
 損失の可能性をなんとしても避けようとする
■コミットメントの法則
 ある物事に時間や労力やお金をかけたあとでは、それがうまくいかないとわかっても、止めることができない
■価値基準の法則
 客観的なデータではなく、最初の印象にもとづいて人やものの価値を判断する
■評価バイアスの法則 その1
 ひとたびある物事に評価をくだすと、それに反する証拠が見えなくなる
■評価バイアスの法則 その2
 評価ラベルをつけられた人は、実際にラベルどおりの特徴を身につける
■プロセスの公平性の法則
 結果の損得よりも手続き上の公平性を重視する
■金銭的インセンティヴの法則
 報酬の可能性をちらつかされると、かえってモチベーションが下がる
■グループ力学の法則
 四人に三人は、まちがいだとわかっていながらも大多数の意見に従う

また、豊富なエピソードと実験でおもしろく読み進められるようになっている。(↓こんな感じ)

【思わず誰かに話したくなるエピソード】
模範的なKLM機長はなぜ管制塔を無視して大惨事を起こしたのか
電話料金で割高な固定料金制を誰もが選ぶのはなぜなのか
「クイズ$ミリオネア」の観客はなぜ間違った解答を教えるのか
イラク戦争が泥沼になる理由
ドラフトの指名順位が入団後の選手の運命を変える理由
躁鬱病が10年で40倍も増えた理由

【思わず誰かに試したくなる心理実験】
競売で20ドル札を204ドルで競り落とす心理
世界有数のヴァイオリニストが地下鉄構内で演奏しても誰も気がつかない理由
安物のIQドリンクで生徒の成績が落ちる理由
自分を年寄りだと思っている老人は本当に早く老ける理由
ただで20ドルをもらえるのに断固として断る理由
吊り橋の向こうに待つ女性に恋をする理由
1問正解につき3円の報酬付きテストで正解率が下がる理由

 興味がある方は、まずはこのページにあるプロモーションビデオをチェック!

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