母なる大地のおっぱい

小林紀晴さんにお誘いいただき八ヶ岳に山登りへ。一度ぜひ行ってみたかったので、夏休み明け一日出社して翌日また休むことになるけれども二つ返事でGO。朝7時新宿発のスーパーあずさに乗り込みいざ出発、と思ったら信号機の故障だとかでいつまでたっても徐行と停止の繰り返し。実は前日夜に飲み過ぎたこともあって若干二日酔いの体を休めるべく就寝。で、一時間半後に目を覚ますといまだにスーパーあずさは吉祥寺駅にいる(!)。隣では紀晴さんが山の地図を出して行程表とにらめっこして一言。「これ、まずいかもしれないですね」。日没の時間までに回りきることを考えると、そろそろ茅野駅に着かなければいけない時間。当初のルートを変更して若干短めのものにするも、紀晴さんは何度も時間計算をしている。「ギリギリですね、どうしましょっか?」そう言われても、スーパーあずさに閉じこめられてどうしようもないし、せっかく山登りの格好をして来たのにこれで温泉入って帰るだけではせつない。何しろ生涯二度目の山登りで、前回のクレイジーな富士山登頂のリベンジの意味でも、優雅で感動的な山登りを期待していた僕はなんとしても山に登りたい。「ま、行ってみましょう」ということで茅野駅についたのが11時前。そこからタクシーで天狗岳への登山口である唐沢鉱泉へ着いたのが11時半。登り始める時間としては、申し分ないぐらいに遅い。
でも登り始めると生い茂る樹木と足下を覆う苔の美しさに目を奪われる。こんな綺麗なところが日本にはあったのか!と世間知らずの僕は素直に感動。登りはきつくてすぐに汗びっしょりで息も上がってしまったけれど、とにかくこの美しい自然の中を歩いていることに感動して背中を押される感じ。真夜中に岩だらけの富士山を歩くのとはオリンピックとクラブ活動ぐらい違う(もちろん富士山のほうが大きくはあるのだけれど)。途中の山小屋で昼食。紀晴さんがココアを作ってくれて暖まる。再び行程表の再検討。やはり時間的には結構きびしいらしい。ここまで登ってきた道を思い返しても、日没して暗くなったら絶対に歩けそうにない。「やっぱり頂上まで登りたいですか?」と聞かれ、しばし頭の中で考えるも、僕のまっさらな経験の中では「登山=登頂」なので、頂上に辿り着かない登山はオーガズムがないセックスぐらいに魅力がない。「やっぱり頂上までは行きたいです」と答え、強行軍モード決定。お昼を20分程度で切り上げると(本来なら一時間は取れたはず)、そのまま登山続行。しばらくすると、眼前に天狗岳のツイン・ピークス、西天狗岳と東天狗岳が見えてくる。まるでおっぱいのような二つの頂に改めて気力を奮い起こす。その頃には樹林が終わってハイマツや低い高山植物の間に岩がゴロゴロとしてくる。岩をはい上がるように登ると、その母なる大地のおっぱいの上からは南北の八ヶ岳の峰々がご褒美のように広大に広がっていた。
紀晴さんは終始カメラをいろいろなものに向けていて、その被写体の見つけ方を間近で見られるのも面白かった。光と形を追っている感じ。休みもそこそこに二つの頂を制覇し、太陽を追いかけるように下山。前回同様、下りのほうが僕の脚にはきつくてやはり膝を痛めるも、なんとか予定時刻の17時半に唐沢鉱泉に到着する。6時間、ほとんど歩き続けていたわけだ。唐沢鉱泉は日本秘湯を守る会に名を連ねる名湯で、疲れ切った体を横たえる瞬間は至極の体験だった。苦しみと快楽という山登りのエッセンスを味わった一日。またぜひ行きたい。

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