老化を止める7つの科学


老化を止める7つの科学 〜エンド・エイジング宣言
オーブリー・デグレイ/マイケル・レイ:著  高橋 則明:訳

《不老不死の研究をするケンブリッジ博士》ことオーブリー・デグレイ。その斬新な発想と奇抜な風貌にどことなくカウンターカルチャーの匂いがするけれど、エージェントがNYのBrockmanと聞いて納得。基本的なコンセプトは『ポスト・ヒューマン誕生』と同じ、今後の科学技術の指数関数的発展によって、将来、人間は老化という病から永遠に逃れられる、というもの。
 老化のメカニズムというのはそれこそ複雑で、現在の老年学でもその複雑な代謝システムをすべて解明するまでにはいたっていない。テロメアとか長寿遺伝子など近年いろいろなものが「発見」されるが、当然ながらそれだけが老化を司っているわではないのだ。だから予防医学やアンチエイジングのようなものも、老化を「部分的に遅らせる」ことしかできない。
 逆に老年医学というのは、老化に起因する病気との戦いを続けているわけだけれども、それは結局は「負け戦」でしかない。老化の原因が特定できていないので当然といえば当然だが、結局は老化によるダメージによって発症する様々な病気(心筋梗塞、アルツハイマー、癌など)への対症療法でしかないのだ。
 本書で言う「エンド・エイジング」は老年学と老年医学の中間に位置するアプローチだ。ダメージを引き起こす老化のシステム自体には立ち入らずに(なぜならそれを解明するにはまだ何十年もかかるから)、そのダメージの蓄積(老化)によって人体に致命的な影響を与える前に(発症後だと負け戦になるから)、そのダメージそのものを取り除く、というものだ。工学的アプローチと呼ばれるこのアプローチによって、人間は老化そのものを止めることができる、というわけだ。
 オーブリー・デグレイは現在、自らメトセラ財団を作り、メディア出演や著述を通して「老化との戦い」に参加するよう広く呼びかけている。実際に Mouse Prize を設立してマウスを長生きさせる技術の発展を促したり、自らも、加齢にともなう身体的・精神的ダメージを無期限に先延ばしにする包括的な計画としてSENS(Strategies for Engineered Negligible Senescence:加齢をとるに足りないものにするための工学的戦略)を策定し着手するなど精力的な取組を見せている。今後注目の異能のサイエンティストの一人だ。

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