ロンドン遙か


 朝メールをチェックするとロンドンの18年来の友人から嬉しいグリーティング・メールが。去年、10年ぶりに東京で会って、今度はロンドンで!と言っていたのだが、どうもチャンスがなく……。「イギリスに行ったことがない」、と言うとよく周りに驚かれる。旅行好きなことは公言しているし、ドイツに4回、スペインとオランダに3回、フランスに2回行ったことがあるのに、イギリスはなぜか縁がない。だから今自分の中では「ロンドン行き」が密かなテーマなのだ。
 昼に書店に行くとイアン・マキューアンの新刊『土曜日』を見つける。言わずとしれた、『アムステルダム』でブッカー賞を獲ったイギリスの至宝。「ロンドン、早朝、午前4時。来るべき日曜日を待ちながら」とはまた、そそられるコピーではないか。Pen の創刊10周年記念特集「ロンドン新世紀。」とともに即購入。「なぜ世界は、この町に夢中なのか?」そう、そうなのだ。
 夕方、田中宇さんのメールマガジンが届く。タイトルが「イギリスの凋落」。サブプライム問題に端を発する金融危機と不動産バブルの崩壊によって、イギリスは金融危機、不況、通貨安、インフレの四重苦に直面する、これをもってアングロサクソンによる金融資本主義支配が終焉を迎える、という壮大なものだ。以下引用。

 イギリスの著名な経済アナリストであるピーター・スペンサー(Peter Spencer)は、12月下旬の講演で「各国の中央銀行が金融危機を制御できる期間は、あと数週間しか残されていない。今後2-3カ月以内に危機を終息できない場合、銀行破綻が急増する。事態は非常に不安定で、信じられないような速さで急展開しうる」「英経済は急減速しており、英政府の財政状況も急速に悪化している。1月の政府税収が発表される2月に(悪化が明らかになり)最初のショックが起きるだろう」と述べている。(引用ここまで)

 ポンドは依然ドルの倍で、もちろんこれが「ロンドン旅」を妨げる主要な要因でありつづけている。本当に通貨安になるのなら、もちろん日本人の僕にとっては嬉しい。イギリスの不動産価格の高騰についてはいつもJMM丸國葉さんのレポートを楽しみに読んでいた。10年間で3倍というのだから相当なものだ。その不動産価格の高止まりによって、2012年ロンドン五輪の運営に10億ポンド(約2100億円)もの見込み違いがでているという。五輪後に会場跡地を18億ポンド(約3780億円)で売却する計画が、想定通りに地価が上がらず8億ポンドでしか売れない可能性があるのだ。じわじわと事態は動いているようだ。
 夜、ロンドンの友人も勤めるシティバンクがプライムローン絡みで10-12月期純利益で98億ドルの赤字になると発表したニュースを見る。はたして田中宇さんのいう「国際政治の枠組みの大激変」はやってくるのだろうか。Newsweekの去年のクリスマス号は「The Good News」という特集で、サブプライムが影を落とす国際経済は先行き不安にとらわれているが、それは米英中心にしたときの見方であって、現在は歴史上例をみないほどに、世界中のさまざまな国が目覚ましい経済成長を遂げているのだという。黄昏の極東から、騒がしい世界を横断してもう一方の大陸の端の黄昏の国へと思いを馳せるのも、また悪くはない。

広告
  1. トラックバックはまだありません。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中