『Memoires 1983』古屋誠一

 朝から3minのタカハシさんと打合せをした足で、会期終了前日となっていた「GELATIN SILVER SESSION 2007」を観に六本木のAXISへ。小林紀晴さんにご案内をいただいたのだが、「銀塩写真の美しさや楽しさを再確認し、フィルムを残していこう」という趣旨のもとに、今年は16名の写真家が集った。面白いのは、この写真家が二人一組になって、自分の撮ったネガを、自分とペアの両方でそれぞれプリントして、並べて展示するという趣向だ。これが雄弁に写真を物語っているのだ!
 紀晴さんの取った湖の写真は、ペアだった泊昭雄さんのプリントしたものとは、湖の色もボートの格好良さも全然違って、つまりは違う気候帯に属する違う国の違う湖にしか見えなかった。本城直季さんの写真は、プリントのニュアンスが全然違っても、やはり同じ「ミニチュア感」が出るんだな、とか蜷川実花さんのあの色彩感覚は、やはりプリントの技なのだ、とかとか。写真の技術的なことはまったく分からないけれど、プリントのもつ圧倒的な「意志の介在」を改めて思い知らされた。
 六本木ヒルズの香港茶樓でランチをして、青山ブックセンターへ。ヴォネガットの『国のない男』が文芸ランキング6位に入っていて喜ぶ。小林紀晴さんの『父の感触』は7位だった。今日の誕生日にと、自分で自分にプレゼントを買う。古屋誠一さんの『Memoires 1983』。去年の発売以来欲しかったのだけど、なかなか買うきっかけがなかったのだ。本書は、古屋さんの自殺した妻クリスティーネさんの手記と古屋さんの写真で編まれた、死ぬまでの最後の一年間を辿る写真集だ。そこには写真と文章による、ある種究極の強度を持った表現があると思う。何も誕生日にこういうテーマのものを買わなくても、という気持ちも3%ぐらいはあったけれども、あまりにも色々なものを投げかけるこの写真集の力には抗いきれなかった。いつか、ゆっくりと一日をかけて青空の下でこの本をじっくり読むのが今の僕のぜいたく。
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