香港8days

7年ぶりに香港を訪れる。7年前は実質的に2日ほどの滞在だったし、出発前日に出した熱で朦朧としながら過ごしていたので、少し記憶が曖昧なままだったけれど、今回空港からバスで香港島に向かうまでの間、そのあまりの高層建築の威容さとポストモダンさながらの都市の相貌に改めて圧倒される。あれは新天地と言われるエリアだったのだろうか。最近は昇龍中国の陰に隠れがちな香港だけれども、そんなことなどお構いなしと言わんばかりに、あるいはだからこそ、ますます成長を遂げていることが視覚からまず伝わってくる。
旅の目的はただ一つ。ギリシア人のアレックスと香港人のカルメンの結婚パーティに出席すること。香港島の南のビーチ、The Repulse Bayというホテルの庭に設えられた会場で夕暮れに映える海辺とその先の小島を眺めつつ(日本の松島のようでもある。行ったことはないけれども)ワインとアペリティフと会話を楽しみ、日没後は荘厳なヨーロピアンスタイルのホテルのホールでの会食。つまりは期待と違ってまったくの西欧式だったけれども、料理も洗練されていてギリシア産だというワインとよく合い、ギリシア人、香港人、イギリス人、それから日本人もいて、素敵なパーティだった。この小さな香港島の、北岸の超摩天楼だけではない一面を垣間見た気分。
実際、The PEAKに登ってみれば分かるけれど(僕は二度目だったけど)、香港島は緑が多い。山はほとんど緑に包まれている。日本人の感覚だと、狭い島なのだから山を切り開いて住宅地を作りそうなものなのに、香港人は超高層アパートメントを次から次へと建てて海岸沿いに垂直に宅地を増やしている。地理的条件(というかこの場合は地震の有無)がその都市のありようをここまでドラスティックに規定するのかと、ツーリストらしい感想を持つ。
他にもフェリーで40分ほどの長州島は、港沿いのシーフードレストランも殆どが地元の人々や中国人客でにぎわっていて、のどかな漁村という趣がとてもラブリーだった。これもまた、香港の知らなかった一面。シャコがとにかくポピュラーらしく、どこのテーブルをのぞいても食べている。殻と格闘しながら食べる甘辛ソースで炒めた山盛りのシャコは超美味で、ビール片手に夕陽を眺めながら、初めて旅に出ている気分に浸る。もし一人で来ていたら、きっとこの島にしばし沈没しているだろうな、と思う。夜に町をそぞろ歩いていたら、白い着物に張りぼての豪邸と車が備えられた地元のお葬式に遭遇する。
香港はとにかく暑い。5月半ばで30度(湿度70%超)になるという日本の夏先取り状況で、毎日昼ごろにダラダラと起きだし、昼飯を少しポッシュな飲茶レストランに行き、午後はプールにいったりまた寝たりして、夜はSOHOでイタリアンやギリシア料理といった多国籍料理を楽しみ、そのまま蘭桂坊(ランカイフォン)に繰り出して飲み続ける、という日々。でも蘭桂坊は六本木以上にクレイジーな白人ばかりであまり好きにはなれない。なぜ西欧人はああもパーティ好きなのか。植民地時代の遺産なのか、DNAの成せる業なのか。YMCAを聴きながらバーカウンターに乗って踊る年増の綺麗な女性を眺めながら夜中の3時にそんなことを考える。
例外と言えば、1日だけダラダラ生活をやめて午前中からマカオへ。前にインドのゴアに行ってから、なぜかポルトガルの旧アジア拠点に惹かれている。マラッカにもぜひ行きたいし(前にマレーシアに行った時には時間がなくて行けなかった)、このマカオにも前から行ってみたいと思っていたのだ。なので、この日だけは完全な旅気分。勝手に想像していた小綺麗な植民地風都市とは違って、猥雑とした中国風都市なのに南欧風の建物が並んでいる。世界遺産の建物の数々よりも、ちょっとした裏通りの風景がとても印象的だった。酷暑でなければいつまでも歩いていたかったけれど、ローカル・バスを駆使しながら町を回るだけでヘトヘトに。ポルトガル・レストランでディナーをして、冷やかし程度にカジノをハシゴ(カジノが目的ではなかったのだ。でも負けた)。夜になると大規模カジノのネオンが否応なしにその存在感を見せ始める。去年ラスベガスを抜いたというこの一大産業がこの島の経済を支えているのだと、そのネオンは雄弁に物語っている。今も新たに建設中のきらびやかなカジノがある一方で、『深夜特急』で有名なフローティング・カジノに行ってみると、そのもはや時代遅れの建物の中には客が一人もいなかった。
香港は住みやすい都市だろうな、と思う。併記された漢字と英語を見ればだいたいのことは分かるし、渋谷から池袋ぐらいの間に全てがつまっているようなコンパクトな都市で(もちろんカオルンもある)、美味しいチャイニーズと各国の料理があって、日本食だって大人気だ。「でも、きっとすぐ飽きるかもね」という連れの言葉に、否定も肯定もできないまま、長すぎた香港滞在を終える。

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