山崎元さんとダニエル・カーネマン

 ダニエル・カーネマンが一般読者向けの本を企画しているらしい。アメリカでの刊行は1年後ぐらいになりそうなのだが、日本の翻訳書業界も色めきだっている次第。ノーベル経済学賞受賞者の初の一般書ということもあり、そうとうに注目大だ。そもそも「行動ファイナンス理論」というもの自体が、さまざまにつまみ食いされながら日本でも紹介されているものの、アメリカからの移入状況はそれほどスムーズではないようだ。もちろん投資・証券業界では相当に研究されているだろうし、たとえば信州大学の真壁昭夫さん(『最強のファイナンス理論-心理学が解くマーケットの謎-』講談社現代新書)や、林康史さんの翻訳など日本でも紹介があるものの、一般書としてより広いマーケットがあるはずだ。最近はやりの、群衆知やクラウド・ソーシングというとこまで、もしかして射程内にあるのではないだろうか。マーケットというのは、いわば究極のオープンソースとも言えるからだ。
 そもそも僕がカーネマンのことを知ったのは、経済評論家の山崎元さんにもう何年も前に教えていただいてからで、山崎さんはカーネマンの考え方をとても分かりやすい形で日本に紹介している一人と言える。先月も夜ご一緒する機会があって、こうした「合理的な人間の意志決定に影響を与えるさまざまな心理バイアス」というものについて、興味深いお話をたくさん聞かせていただいた。もちろん狭義の「投資」ということに限っても、こうした知識に基づく「経済護身術」が必要だし、いまや行動ファイナンス理論を巧みに取り込んだ様々な商品に対して、それらを「解毒する」リテラシーは必須となっている。より一般向けの行動ファイナンス本ということでは、山崎さんも必ず面白いものを書かれるはずだ。
 僕がもう3年前に翻訳書編集部に移った際に、山崎さんから「脳科学とファイナンス理論をまとめた本がアメリカではいくつか出ていて、ぜひそのなかの良書を日本で出して下さい」と言われていたのだが、今回のカーネマンの企画はまさにそんな一冊。日本での刊行が楽しみだ。
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