ユアグロー×柴田元幸


 午後から紀伊国屋ホールで行われたバリー・ユアグローと柴田元幸氏のトーク&朗読会へ。ユアグローは『一人の男が飛行機から飛び降りる』を読んで以来の好きな作家。その滑稽無糖な悪夢的ストーリーは、本当にいつも自分がみている夢のようにも思えてすっかりと魅了され、いったいどんな人間がこんなぶっ飛んだ話を書くのだろうと思っていたのだ。
 実際のバリー・ユアグローは、いかにもアメリカ人な禿頭のおっちゃんで、トラック整備工ですと紹介されたらそうなのかな、と思ってしまいそうだけれど、その朗読は昔から話には聞いていたが本当に「パフォーマー」の域に達する芸達者ぶりで、インテリジェンスが垣間見られて楽しめた。柴田氏による邦訳版の朗読との掛け合いも、翻訳書業界の人間としては刺激的。
 絶望的な状況の中に笑いを入れること、そうすることでこの世界と対峙してみる、そのことにユアグローはプライオリティを置いている。一つは対比の問題。北野武や鈴木清順をよく観るというユアグローは、そこに「殺し」と「笑い」、「ヤクザ」と「桜」のような対比を見る。そうしてやっと世界は満たされる。もう一つは、世界は必ずしもハッピーエンドではない、という世界観。それを「物語」にするという創作の姿勢だ。来年早々に刊行予定の『たちの悪い話』(原題:Nasty Book 柴田元幸訳/新潮社)でユアグローは、子どもにも読める「アンハッピーエンド」を書いている。それが子どもにとって良いことなのかどうかは、また別の話だけれども。

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