Carmel > San Francisco : 8th day

 今日も朝から霧が深く、一路1号沿いに北を目指すことにする。このルート1は海岸沿いのseenic routeで、所々霧が出ていない場所などでは左に太平洋、右に丘陵地帯が見渡せてそれは気持ちの良い道だ。道沿いには花々が咲き乱れ、遠くには牛たちがゆっくりと草を食べ、バイクのツーリングを楽しむ人々ともたくさんすれ違う。
 お昼前に、Carmelの街につく。ここの海岸沿いのCarmel by the seaはクリント・イーストウッドが市長を務めてリゾートとしての街作りをしたという。海岸へと続くストリートには、小粋なブティックやブランド店が続く。そこを一瞥して海へと出てみると、これが綺麗な白砂の気持ちの良いビーチで、ここでしばらくゆっくりすることに決める。
 昨日、曇天で涼しかったので油断していたのだが、今日になって日焼けで全身前面が真っ赤になっていて火傷をしたかのように痛い。このCarmelの海ではお昼頃から快晴になり、この日焼けに突き刺すような日差しが痛くてたまらず、ずっと背中を向けて甲羅干しをしながら本を読む。ケルアックの『孤独な旅人』。『路上』以上に詩的で散文調の短編集だ。カンブリア同様、大西洋の海は尋常ではない冷たさで、脚を水につけただけで冷たさで脚が痛くなってくるほどだ。このCarmelのビーチにはたくさんの(といってもじゅうぶんまばらだが)人がきているが、海に入っている人は数えるほどしかいない。2,3時間ほどごろりとして充分過ぎるほどに体が温まったとこで、僕も意を決して海に入ってみる。冷たくて痛くて押しつぶされるような水の感覚。20秒ほどでビーチに引き返す。ふう。とにもかくにもこれで太平洋への挨拶は終わった。
 3時すぎになってCarmelを離れ、17mile Driveに入ってペブル・ビーチとそのゴルフコースを眺めたあと(実際、あのゴルフコースでプレーすることは、すべてのゴルフプレーヤーの憧れだろう。羨まし過ぎる)、そのままルート1を北上してサンフランシスコを目指す。途中、サンタクルズの手前など何カ所かでけっこうな渋滞にはまる。だんだんと日が傾いてきて、海の向こうに見える太陽が美しい。Half Moon Beachを越えたところで1号が通行止めとなっていて、その時ちょうど、夕陽が綺麗な時だったので、その行き止まりで車を停め、岸壁を下って浜辺へと歩いていく。ほとんど人がいないビーチに腰掛け、そこで夕陽が沈むまで小一時間ずっとサンセットを眺めていた。
 本当に美しいサンセットで、この太陽は日本に向かって沈んでいるんだな、と思って、西海岸が初めてなので当たり前だけれども、こうして日本に沈む夕陽を見るのは初めてだったな、と思う。それから様々な場所で眺めてきたサンセットが頭に浮かんでくる。ノルマンディやイビザやゴアやサグレスで、僕は綺麗な夕陽を見たな、と思って、それがいつも何かの人生の節目節目のように思え、この太平洋に沈む太陽も何か僕の節目になるのだろうか、と考える。そして今回の独り旅が、この夕陽とともに終わるんだな、と思って充実感と寂しさがこみ上げてくる。僕は何をしたかったのだろう。そして何をしたのだろう。旅はいつも終わりがなく、だからまた旅に出る。旅は続く。
 すっかり沈む夕陽に魅入られていたので、日没を見届けた時にはもう20時半ちかくで、そこから1号を少し南に引き返し、92号から101号に入ってサンフランシスコ国際空港に着いたのはもう21時過ぎだった。レンタカーの返却は思った以上にスムースで、1800mile以上を一緒に走ったシボレーに別れを告げ、すぐに友人のYoに電話をして迎えに来てもらう。Yoはこの空港のすぐ近くに住んでいて、これから週末の間は彼の家にお世話になるのだ。独り旅の楽しさと寂しさが募るほどに、僕はこのYoとの再会を心待ちにしていた。気のおけない友とこの旅についても話したかったし、とにかく日本語をしゃべりたかった。San Mateoのだだっ広い家でビールとワインを飲み続けて3時まで話込む。
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