Cambria, the Pacific Ocean : 7th day

 というわけで、今日は一日カンブリアのビーチでのんびりと過ごす。別荘街もこの海岸沿いも綺麗な草花が配植され、とても気持ちのいい場所だ。海岸には様々な鳥や、それにリスがたくさんいて、人間を見ると近づいてくる。あいにく朝から霧がかかり、一日曇天が続く。浜辺にはほとんど人はいなくて、ほとんどプライベートビーチ感覚で小さな砂利の海岸に横たわってケルアックの『路上』を最後まで読み終える。路上へとどうしようもなく戻っていくその主人公達の気持ちが、昔以上に心に響いてくる気がする。彼は30近くで、その時にはすでに離婚して結婚はこりごりだと思っていて、熱狂と退廃と混乱の旅路の中で、つねに同時に少し冷めた視点でそれをとらえていた。そうしたことを、今の僕のほうが二十歳の自分よりもよく分かるからかもしれない。あるいはニール・キャサディが、アメリカを放浪しながら3カ所で妻と子どもの家庭をつくり、それでもベッドの下には常に使い古したトランクが置かれていて、また家庭を置いて新しいone wayの旅に出てしまう気持ち。同じ本を時を隔ててまた読むというのは、いつもながら貴重な経験だ。
 リゾートロッジがあまりにも快適だったため、悩んだのだが、結局海岸沿いのもっと安いモーテルに午前中に移る。79ドル+タックスにしては、いままでで最低の施設だったが、海まで歩けることは大きい。時折晴れ間が一瞬覗くぐらいで、夕方からはまったく霧にすべて包まれてしまったのだけど、モーテルに戻ってシャワーを浴びると、全身が真っ赤に日焼けしていた。
 せっかく一日、海でのんびりとしようと思っていたのに曇天なのは残念だった。でも、逆に考えれば、昨日この海岸の真っ赤な夕陽を見ることができたのは、ラッキーだったのかもしれない。ひたすら走った最後に霧で夕陽が見れなかった、というほうがきっと落胆しただろうから。静かな、数人のサーファー以外ほとんど人がいないビーチでずっとゆっくりできたのはよかった。青い海も白い空も金髪の美女も拝めなかったけれど、人の多いいわゆる観光地に行かなくて、静かな場所にしてよかった。
 夜はカンブリアのメインストリートまで車で行って、ピザとサラダとビールで夕食をとる。いままで律儀に飲酒運転をしないように気をつけていたが、モーテルまで田舎道で3分ということもあって、ついに禁を破る。そのレストランの店員の金髪の女の子が田舎の娘らしく素朴でまじめで可愛らしく、そういえば僕には東京で待っていてくれる人がいないことを少し寂しく思う。店を出るときに、彼女が手を振ってくる。
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