熊野詣 2nd day 湯の峰温泉

 朝9時半のバスで一路、熊野古道の中辺路沿いに国道311号を行く。富田川沿いの満開の桜がそれはそれは美しく、飽きることなく窓外の景色を眺める。バス旅のスピード感が心地よい。お昼前に本宮に着く。熊野詣でのハイライト、熊野大社はバス停のすぐ目の前に山門を構え、八咫烏の幟が風になびいている。石段を登り切ると、そこには古式ゆかしき社殿が配された熊野権現の社がある。古事記に出てきそうな(実際出てくるのかな?)家都美御子大神とかいろいろな「日本の神」が祀られているのだが、まぁ、その話は難しいしよく分からないのでいいや。印象的だったのは、「熊野の神」を祀る場所が想いのほか、こぢんまりとして質素だったこと(非常に好ましいことだ)、実は明治22年までは、この本宮大社が、バス停近くに広がる「大斎原(おおゆのはら)」と呼ばれる中洲にあったということだった。熊野川や音無川に囲まれたその中州は、「日本一の鳥居」とあるいかにも近代的なコンクリート造りの建造物を除けば、今では原生林の名残とのどかな原っぱ広がる心地よいエリアで、ところどこに咲く桜の木々と暖かな春の日差しの下で、そこは確かに鎮守の森、そしてアニミズムを感じさせる場所だった。
 本宮からは一転、「大日越え」の山道を通ってささやかな「熊野古道」体験をしつつ、湯の峰温泉を目指す。本当に急峻な山道を一時間以上進むこのルートは三十路の二人には堪えるものがあり、僕は最後の下り道で完全に膝が笑っている。が、目指すは温泉、しかも世界遺産に含まれる「壷湯」があるとくればそれも苦ではない。湯の峰温泉は日本最古と呼ばれる温泉で弥生時代の2世紀に発見された温泉だという(まったく想像もつかないスケールの話がこの旅ではホントに多い)。中でも壷湯は、小栗判官の逸話で有名な曰く付きの湯で、人が二人も入ればいっぱいの、こぢんまりとした川床温泉だ。旅館は由緒正しき「あずまや」に。アンドレ・マルローが「これぞ日本の宿」と絶賛した典型的な純和風旅館。熊野牛をはじめ温泉料理に舌鼓を打ち、槙の湯舟に入りながらだらだらごろごろと温泉旅館の王道を楽しむ。
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