『真夜中の五分前』Side-A/B

 家にあった本多孝好の『真夜中の五分前』Side-A/B二冊を一気に読む。朝日新聞の書評欄でも取り上げられていて、売れているらしい。売れている理由は、読んでみて分かる。つまりは、恋人の死という、今で言えば「セカチュー」の流れをベースに、世の中にコミットできない「僕」の物語が、思いっきり村上春樹口調で語られていくのだ。だから会話は楽しい。「絶対に?」「絶対に。」みたいなリフレイン手法も全開。それに、双子というシチュエーションも、独特の想像力を読者に喚起する。でも、双子というトピックスも、春樹の大好きなネタではなかったか。「五分前」って、村上龍の『五分後の世界』をどうしても想起させるし(内容は全然違うけど)……。著者は僕とほぼ同年代。W村上の影響下で育ったのは明らかだけど、これだけ衒いなくさらけ出しちゃっていいのだろうか?
 内容としては一気に読ませる。8年後にやっと、20歳の時に死別した恋人の目の前で泣くシーンは、唯一心が動かされた。そういう部分をしっかりと書き込んだり、全体の筆力はあるかもしれない。でも現実感はないし、主人公の年齢設定が語らせる言葉と違和感を感じさせるし、まぁ、書ける人が売れるプロットを用意して「おいしい」文体で書けば売れる、という感じだろうか。
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