Spain-2nd day 闘牛

 時差もあって7時過ぎには起床。改めて空港にJのトランクを問い合わせるがまだ出てこない。朝食をとって散歩に。すぐ近くの王宮の周りは本当に気持ちのいい町並みで、快晴の朝の青空と木々の緑と17世紀の美しい建物が相まって非常にリフレッシュできた散歩だった。そのまま歩いてマジョール広場で蚤の市を冷やかした後(Jはそこでフラメンコの図案のかわいいポストカードを購入)、エルコルテ・イングレスに向かうが、日曜日は軒並みお店がクローズなことが判明。フラメンコ関係の諸々をここスペインで買い貯めようと考えていたJ、落ち込む。
 ヘミングウェイが定宿にしていたというThe Westin Palace, Madridのカフェへ。丸い天蓋の鮮やかなガラスの絵とても印象的だ。「ここがマドリッドの中心」という雑誌の記述もあながち大げさとは言えない。今はウェスティンが買い取って、「大衆超高級ホテル」となっており、かつてヘミングウェイが立ち寄ったころのような「クラス」感はなくなったのかもしれないが、それでもクラシカルな趣きの中に気品が感じられるホテルだった。
 プラド美術館の前を通って、またまた今度はヘミングウェイが通ったバルに行く。市街地の中にポコっと開いた広場に面したクラシックなカフェ。もちろん店員はおじいちゃんたち。店内には闘牛の写真などが飾られ、闘牛好きで知られたヘミングウェイが通ったであろうことが忍ばれる。ここはかつては闘牛士が集まるバルで、なのでヘミングウェイもひいきにしていたとか。ハモン・イベリコにリオハの赤。これがやはりスペインの正しい小腹の満たし方だと思う。Jはここのワインが口に合ったらしい。たしかリビエラ・デ・デュエロではなかったか。
 美術書が強いと言われる書店に入り、なぜかスペインの写真家による写真集を購入。42ユーロ也。装丁買いだが2004年のスペインの賞をとっているらしい。JはfnacでフラメンコのCDを多数購入。歩いて小腹をなんとか空かせながら、マジョール広場近くのレストランBOTINへ。子豚の丸焼きを食べさせる、「世界最古のレストランとしてギネスブックにも載っている」という店だ。昔は宿屋をかねていたらしく、素朴でどこか中世のたたずまいを思わせる狭い店内は客でぎっしり。厨房から見える丸焼きの「子豚」は、猫ほどの大きさで本当に「子供」の豚なのだとすこし驚く。でも出てきた子豚の丸焼きは本当にやわらかくてそれでいて肉の無垢なうまみが凝縮されているようで本当においしかった。豚というよりは鳥肉に近いが、とにかくやわらかくて臭みのいっさいがないのだ。鶏肉以上に。
 そして今日は、僕が楽しみにしていた闘牛を観る日だ。日本人のガイドさんに連れられていざペンタス闘牛場へ。バスで向かう車中、ガイドさんの闘牛のレクチャーが秀逸だった。闘牛とはすなわち芸術である。牛が闘牛場に入ってくるその瞬間から、槍を刺し、銛を刺し、最後にマタドールがとどめの一刺し(真実の瞬間と言うらしい)をするまでのすべての過程が、一曲の音楽を奏でるように、いかに調和した美しい調べとして流れていくか、が闘牛の醍醐味なのだと言う。そしてひとたび闘牛場で実際にその「舞台」を観た瞬間、確かにその芸術に一気に魅了されてしまった。非常に美しく、高揚させ、陶酔させ、熱狂させる、それは確かに一つの調べ、音楽のような芸術だったと思う。3人のマタドールが各2回、計6回行われる「舞台」は、そのどれもがまったく違う調べをもって、人々を引き込ませる。残念ながら完璧な「真実の瞬間」は今回訪れなかったが、いつか遭遇するであろうその瞬間を求めて、僕は今後も闘牛を観ることになるだろう。ペンタス闘牛場のイル・イ・ソンブラの狭く固いコンクリートの席に座りながら、僕はそう確信した。
 さて、マドリッド最後の夜はとにかく忙しい。闘牛場からホテルに引き返し、マジョール広場近くのバル街に繰り出す。まずはマッシュルームの鉄板焼き専門のバル。これがうまい!ピンポン玉大のマッシュルームに肉厚の生ハムの一片をのせ、ひまわり油と塩でじゅうじゅうと鉄板で焼く。またたくまに一皿を二人で平らげる。続けて隣のトルティージャ専門のバルへ。出てきたトルティージャはふんわりと熱々の極上の一品だった。卵がふわふわで、マッシュされたポテトとうまく食感がマッチして、とにかくふんわりなのだ。これがまず、いまだかつてなかった食感である。さらに、ポテトの塩味も完璧で、かなり満腹のおなかにも入っていく。Jは2/3も食べて大絶賛。この旅で最もうまかった一皿に挙がった。
 おなかを十分すぎるほど満たした後、今夜もタブラオへと通う。Corral de la MoreriaはJは去年に続いて二度目。これぞジプシー!という女性ダンサーが魅せる。昨日に比べ、よりテクニックと迫力(というかつまりはステップの早さ、強さ、巧みさ)重視といった感じ。Jは10時半と12時と2回ぶっ通しで観る。僕は睡魔に沈没気味。ホテルについたのはまた未明。トランクはまだ見つからないようだ。
広告
  1. トラックバックはまだありません。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中