文學界新人賞

 第98回文學界新人賞が6月号で発表されて、早速読む。受賞作の「介護入門」は、圧倒的なテキストの量とリズムと自意識の氾濫に、確かに圧倒された。マリファナのトリップ感が、自宅介護で嫌が応にも向き合うことになる自己の内面と肉親との距離感というか摩擦具合を巧みに表現しているのではないだろうか。ドラッグ小説、というかトリップによって意識の探訪にでる手法には常々稚拙さを感じるが、今回はギリギリでOKだと思った。「介護」というトピックスの「現代性」と同時に、いかにそれが元来人間に身近なものであるかを示す好例。作者のモブ・ノリオ氏のキャラクター小説と言える気もする。受賞のコメントが良かった。好き嫌いがあるだろうし、僕は本人は嫌いだと思うけど、あのテキストは認めたい。
 一方、佳作として掲載されていた「静かな雨」は、どうしようもない駄作だと思う。特に「介護入門」のあとで読むと、辛い。江國香織や他の「最近の小説」の亜流という評価があったけど、最近の小説のほうが、全然「上手い」でしょう。比べるのは酷だと思う。「何も起こらない」のなら、せめて文「芸」でもっと読ませないと。
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